名前
三浦 奈美子 先生
在籍期間
平成3年度~現在
Q1本校での教員生活を振り返って、心に残るエピソードを教えてください。
25年の担任期間の中でも、特に印象深いのは男子一期生(商業科)である。悲喜こもごも、充実した3年間を過ごした。彼らの好き勝手な振る舞いには手を焼いた。しかし、暴れん坊のくせに担任のことはとても大事にしてくれたと思う。毎朝必ず貴重品を集めるのだが、その日は誰一人持ってこない。「貴重品はないのか」と聞くと、数人がこちらを指さす。はて、と考えていると、一人の男子がひとこと。「先生が貴重品」。返す言葉が出なかった。
彼らとの卒業式も忘れられない。最後のホームルーム、証書を受け取った者は後ろで見守っている保護者に花束を渡しにいく。最初の方こそ「どれだどれだ」「〇〇のかあちゃん、どの人」なんて騒がしかったのに、だんだんしんみりしていく。花を渡した級友の涙声の「ありがとう」に鼻をすすり始めたのだ。担任の最後の話を終え、帰りの挨拶をする段になると、日直は役に立たない状態である。クラス皆に促されて(応援されて)やっと「さようなら」の号令が言えた。あれは泣けた。
今は担任ではないのであのときのような濃い時間を過ごすことはない。あの時の商業科一期生同様、最後の担任であった美術・デザイン科一期生との2年間も、印象に残っている。二転三転の末の3学年4月実施の修学旅行。それから、卒業式当日、最後のホームルームで盛り上がったフルーツバスケット。東日本大震災の直前に卒業していった保育コースでは読み聞かせをさせられた。感謝の言葉を浴びせられ、いい具合に涙が出ているところに「ありがとうの花束にして」という“ありがとう”を連発する文章。うまく読めるはずがなく、途中で断念した。いつもいつも思うのは、クラスに恵まれていたということ。保護者にも恵まれた。心から感謝している。
そして、学校名が変わってはじめて演劇コンクールの県大会に出場できたことも忘れられない。男子生徒が主役、準主役をつとめた劇だった。ここから男子の目覚ましい活躍が続いた。
Q2本校の生徒はどんな特徴があると感じられましたか?
女子高の時代は、生きる力にあふれた強い人間が多かった。逆境にも負けない強さと、したたかさと、環境の変化に対応できるしなやかさがあった。それに比べると今の生徒たちはソフトな印象を受ける。よくいうと、優しい。まれになかなかの元気な性質も見受けられる。そういう生徒は案外、不貞腐れたり言葉を誤ったとしても相手の意図を汲むことができるいい奴であることが多いなあと思う。
Q3男女共学化の前後で生文高の雰囲気、教員側の変化などがあれば教えてください。
女子高の頃は華やか、豪華絢爛な印象だった。今は運動部の印象が強くなり、質実剛健とでもいおうか。しかし、時代や雰囲気が変わっても他人を気にかけ手を差し伸べることができる生徒が必ずいる。そして先生たちの生徒に対する細やかな指導は今も昔も変わらない。いつも生徒を気にかけ、日々悩んでいる姿は自分が勤めたころから変わらない。
Q4これからの生文高、生徒たちに贈る言葉や期待されますことを一言お願いします。
本校の先生方は指導に熱心だ。まれに物言いが厳しいと感じることがあるかもしれないが、言葉の裏には優しさや思いやりが潜んでいることが多い。期待も潜んでいたりする。うわべだけの優しさを求めないこと、と言いたい。